【Pick Up】次世代の医療:「治療アプリ」について

美容・健康

今、日本は世界のどの国よりも早いスピードで、「少子高齢化社会」に突入しています。

超高齢化により加速度的に増大する社会保障費を補い、その機能を持続させるため、秋には消費税が10%にアップされる予定です。

問題の社会保障費の中で突出しているもの、それは年金と医療・介護費用です。

政府は社会の諸問題に対応するため、超スマート社会「Society 5.0」の実現を提唱しています。

「Society 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。」(内閣府のホームページより)

Society 5.0社会の先駆けとして、医療分野で注目されているのが治療アプリです。

デジタルヘルスベンチャーの株式会社キュア・アップCEO佐竹医師は、「医薬品や医療機器といった既存の治療とは異なる「治療アプリ」という新たな治療アプローチによって、これまで治療しきれなかった病気で苦しんでいる患者様に新たな希望を与えられること、また高騰する医療費や地域間医療格差といった社会的課題の解決にも貢献できることに、誇りに思って本事業に取り組んでいきたいと考えています。」と言っています。(キュア・アップのホームページより)

「治療アプリ」とは

キュア・アップのホームページに載っている、治療アプリの解説を紹介します。

治療アプリとは:スマホなどのモバイル機器を通じて得られる日々の治療データを、医学的知見を搭載したアルゴリズムが解析し、個々の患者様にパーソナライズドされたガイダンスを実施します。

さらに、医師(指導者)にも患者ごとに適切な指導内容を提示することにより、治療水準の向上を図ります。

また日経新聞では、「治療アプリ:特定の病気を治療するために使われるソフトウエアのこと。

2014年11月施行の医薬品医療機器法(旧薬事法)でソフトも医療機器として認められるようになった。

臨床試験(治験)を通じて医学的データを示して承認を得られれば、保険適用を受けられる。(2017年10月30日)」と書かれています。

毎日使っているスマートフォン(以下スマホ)が、専用アプリを搭載することで、従来の日常活動や運動量の管理をするだけでなく、病気の治療をしてくれるようになると言うのです。

スマホには、カメラをはじめ、加速度センサー、ジャイロスコープ、心拍数など、色々なセンサーが搭載されています。

更に、スマートウォッチや他のウェアラブルデバイスと連動させれば、多様な個人データが収集できます。

治療アプリは、これらのデータを解析することで、個人個人に合わせた病気の治療や予防を可能とします。

また、薬と違って副作用を殆ど気にしなくても良いので安心です。

解析結果を主治医とデータ共有して、より良い治療への行動を促したり、治療方針を見直したりします。

WT
早い段階で体調の変化に気付けるため、病気の重症化防止にも役立ちそうです。

どんな「治療アプリ」があるのか

先行している米国の事例を紹介します。

・W社の「BlueStar」は、2型糖尿病に対して「薬と同等以上の効果が臨床試験で実証された」治療アプリです。

2010年にFDA(米国食品医薬品局)で承認、保険適用されています。

自宅等で患者が入力する血糖値情報をもとに、適切なタイミングで指導や生活習慣改善のアドバイスが表示されます。

・A社は、ADHDを含む認知機能等の障害に対して、ゲームの機能を利用した治療アプリの開発を行なっています。

このゲームは知覚、視覚、同時遂行能力の3つの能力を改善するために設計されています。

・P社は、喘息患者向けに、アプリと吸入器を連携させた治療アプリを開発しています。

薬の服用を忘れないためのメッセージがスマホに届くだけでなく、どの様な状況で喘息の発作が起こり易くなるのかを知ることができます。

・V社は、加齢黄斑変性や糖尿病による失明の可能性を、早期の段階で発見できるデバイス「mVT」を開発しています。

早期発見と適切な治療を行うことで、加齢黄斑変性や糖尿病による失明のリスクを大幅に軽減します。

国内の治療アプリについて、各社のホームページから引用して紹介します。

株式会社キュア・アップ

CureApp禁煙(ニコチン依存症治療):患者ごとの禁煙治療の状況やその日の体調に応じて個人に適したガイダンスを行うことで、ニコチンの心理的依存に対してその作用を発揮し、ニコチン依存症治療に貢献します。

NASH App(非アルコール性脂肪肝炎NASH治療):患者ごとに最適化された診療ガイダンスを外来受診時以外にも継続的に行うことで、現在有効な治療介入が存在しない非アルコール性脂肪肝炎の病態と生命予後の改善が期待されます。

HERB(高血圧治療アプリ):患者のライフスタイルや思考などをコンピューター分析したデータから、個々に最も適している治療ガイダンスを提供します。意識・行動変容を促し、食事や運動などの生活習慣を改善することで血圧降下を目指し、本態性高血圧治療に貢献します。

サスメド株式会社

不眠症治療用アプリ:この治療アプリは、非薬物療法である認知行動療法のアルゴリズムを用いて作られました。

認知行動療法とは、ものの受け取り方や考え方に働きかけて気持ちを楽にしたり、行動を改善したりするものです。

オムロンヘルスケア株式会社

Curline(キュアライン):歯科医が処方した磨き方を歯ブラシに登録し、スマホで確認しながら歯磨きすることで、個々に適した歯磨きを実践できます。

歯磨き中のデータが記録されるため、処方通りに磨けているかをアプリで確認できます。

共有情報を見ながら歯科医と患者が一緒に磨き方をチェックし、改善できます。

京セラ株式会社

デイリーサポート:スマホで、毎日の活動量、睡眠、食事などの生活習慣とその結果である内臓脂肪の状況を測定し、「見える化」するアプリです。

アプリ上に表示されたグラフや数値で自分の状態を確認・管理することができます。

大学で開発しているアプリの紹介です。

  • 順天堂大学の「ロコモニター」は、3つのロコモ度テストができ、また心拍数・不動時間・歩数などを自動的に記録することにより、日々の運動状況とロコモ度との関連性を把握でき、その結果をフィードバックする事でロコモ予防や改善を支援します。
ロコモティブシンドロームとは、「骨・関節・椎間板・筋肉・神経などの運動器障害により移動機能が低下した状態」のこと。

https://www.juntendo.ac.jp/university/research/research_news/researchkit/locomonitor.html

  • 慶應義塾大学の「Heart & Brain」は、不整脈・脳梗塞を早期に発見し、生活の質を守ることを目的としたアプリです。

スマホで心拍数、歩数、運動量などのデータを収集し、内蔵されたセンサーで、脳梗塞検出に役立つ簡単な運動評価検査を実施します。

2018年3月16日で提供が中止されています。

  • 東北大学では、過敏性腸症候群などに対応するアプリ「おなかナビ」を、大阪大学では、幼児の睡眠習慣に関して、専門家に相談し、指導を受けられるアプリ「ねんねナビ」開発しています。

http://abdominalhacker.jp/archives/739

 

ここまで見てきましたが、治療アプリは生活習慣病や老年病だけでなく、精神疾患、幼児や治療法が確立されていない疾患などに幅広く対応しており、その可能性から対象範囲の拡大が引続き見込まれます。

更に個人向けだけでなく、働き方改革やメンタルヘルス対策を進める企業向けのサポートアプリも、次々に開発されています。

スマホアプリは参入障壁が低いため、様々な企業、大学、医療機関が競って開発しています。

WT
より良い治療アプリを、手軽に入手できる日が間もなくやってきます。

「治療アプリ」への期待

一部の地方では少子高齢化社会が既に到来し、近くの医療機関が無くなったり、介護施設も無く職員もいない状況です。

都市と地方との間で、医療提供体制の格差がはっきり現れて来ました。

その対策として政府は、スマホなどを活用した遠隔医療を推進していますが、その恩恵に与るのは一握りの人々です。

対策が進めば、今後は住み慣れた家に居ながら、遠隔診療と治療アプリを組合せた最新医療を受けつつ、薬が必要ならドローンで届く、安心・便利な日常生活のイメージが浮かびます。

WT
そんな新しい社会の到来に、治療アプリの発展が大きく貢献すると確信しています。